司法書士によるコラム

第10回 「不動産の売却について」

 今回は成年後見制度について紹介したいと思います。

 認知症のお年寄りを抱える家族の中には,高齢者の所有している不動産の売却をしようと考えている方もいらっしゃることと思います。但し,不動産売買をする際には売る側である売主の意思確認と,買う側である買主の意思確認が必要となる為,本人の意思を確認できないような場合には困ってしまいます。では,認知症のお年寄りや,精神に障害のある人等の判断能力の不十分な人が複雑な法律行為をする為にはどのようにすればよいのでしょうか。

 その為の制度として,成年後見制度が利用されています。成年後見制度とは,平成11年に定められたまだ新しい制度ですが,その前制度である禁治産・準禁治産の制度は明治時代に制定されました。時代も変わり,これまでの制度では現代社会において不便な部分,自己決定権の尊重や身上配慮が欠けている等の指摘により,新しく成年後見制度が作られました。

 成年後見制度は,認知症のお年寄りや精神の障害の有る人等,判断能力が不十分な人について,第三者である裁判所から選任された成年後見人が,本人に代わって一般の日常生活以外の法律行為の手助けをする制度です。判断能力が不十分であっても,健常者と同様に今までと同じような生活をさせること,本人の自己決定権を尊重しようという理念に基づいて制定されました。成年後見制度については,法定後見制度と任意後見制度の2種類がありますが,今回は法定後見制度につき簡単にご紹介していきたいと思います。
法定後見制度を利用する為には,法律で定められた申立人が家庭裁判所に申し立てをし,家庭裁判所から選任された成年後見人により利用開始となります。

 成年後見人は,裁判所の審判により選任されますが,申立人から希望を出すことも出来るので,現状,親族が後見人に選任されることが多いようです。

 成年後見人が選任された後,まず被後見人の資産を管理することから始まります。貯金や現金の管理,入院費用等の管理も通常の業務として成年後見人が行います。
その後,不動産の売却等の日常生活以外の法律行為についても成年後見人が本人の代理人として手続を行うことになります。また,入院の手続や,施設への入所手続,本人が死亡した時には遺産の管理や相続人への報告等も成年後見人が行います。

 成年被後見人は本人の判断だけでは日常生活以外の法律行為をすることができないと定められています。本人にとって不利な契約とならないように,成年後見人が代わりに法律行為を行うのです。

 成年被後見人は上記のように,一般の日常生活以外の法律行為について制限があることから制限行為能力者と呼ばれています。成年被後見人と同様に,未成年者も単独で完結した法律行為を行うことができないとされています。但し,未成年者の場合には例外として結婚により未成年者を成年に達したものとみなし,私法上の行為をなしうる制度や,営業の許可を得た未成年者についてはその事業における法律行為をした際には成年がしたのと同様の効果が与えられます。

 成年後見制度についてはまだまだ一般的に浸透している制度ではありませんが,今後益々その重要性が高まっていくことが予想されます。
ご家族の中に不動産の売却を考えている方がいらっしゃる場合には,成年後見制度の利用について検討されてみることをお勧めいたします。

不動産登記のお問い合わせはこちら

ご相談,お見積り無料!お気軽にお問い合わせください。

「こんな些細なことを弁護士に相談してもよいものか」といった事項でも,遠慮なくご相談いただける人間関係を,法人代表者の方々や法務部担当者の方々との間で築くことを心掛けています。