司法書士によるコラム
第15回 「不動産登記の重要性(登記申請って必要?)」
実際に自分で不動産を購入したり,相続が生じたりしない限り,一般の方には登記って何?という方が多いのではないかと思います。また,相続が生じた場合においても相続登記を申請せず,被相続人名義のままになっていることはよくあります。そこで今回は,そもそも登記申請は必要なのかについてお話させていただきます。
不動産登記とは,わたしたちの大切な財産である土地や建物の所在・面積のほか,所有者の住所・氏名などを公の帳簿(法務局に備えられる登記簿)に記載し,これを一般公開することにより,権利関係などの状況が誰にでもわかるようにし,不動産取引の安全と円滑を図る役割を果たしています。
また,不動産登記に関して,民法第177条で「不動産に関する物権の得喪及び変更は,不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ,第三者に対抗することができない。」と定められています。これが登記の「対抗力」といわれるものです。よって,住宅を購入したら,登記所(法務局)で土地・建物それぞれの登記をする必要があります。この不動産の登記をしておかないと,第三者に対して所有権を主張できません。公開された権利関係を信用して取引をした人を保護することによって安心して不動産取引を行うことができるようにするためです。
つまり売買契約の成立によって所有権が移転するものの(実際の取引では代金全額の支払いが完了したら所有権が移転する約定になっています。),この所有権を第三者に対抗できるかどうかとは別問題なのです。
高額の不動産を購入したにもかかわらず,登記をしない間に売主が別の人に売却をしてしまい,後に買った人が先に登記を済ませてしまった場合,いくら先に売買契約を成立させていても所有権を主張することができなくなるのです(売主と他の買主がグルになっていた場合は別ですが)。
売主に対しては,契約不履行ということで損害賠償を請求することは可能ですが,裁判に時間と労力を費やして必ずしも賠償を得られるとは限りません。また,ほしいと思った住宅は,もう手に入れることはできません。
以上のようなことからも,不動産登記の重要性は理解頂けたかと思いますが,同様なことは相続登記に関しても言えます。
例えば,不動産を所有していた方が亡くなり相続が生じた場合において,相続人間で遺産分割協議がまとまらないうちに,相続人の1人が法定相続分の割合で共有名義の相続登記を申請してしまったとします。その後,その相続人が登記上取得した共有持分を第三者に売却してその第三者が登記を済ませてしまった場合,第三者は権利を取得したことを他の相続人に対抗(主張)できてしまいます。その結果,相続人と第三者との共有という状況が生じてしまいます。
一般の方が不動産登記を申請するような機会は多くはないと思いますが,このようなトラブルを避けるためにも,取引や遺産分割協議が済んだら速やかに登記手続を行うことが必要です。
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