司法書士によるコラム
第19回 「ローンを完済したら登記しましょう」
住宅を購入したら登記の申請が必要なことは,皆様よくご存知だと思います。
例えばZさんが銀行で35年ローンを組んで住宅を購入したとします。Zさん(買主)・売主・銀行・不動産会社・司法書士などが立ち会って決済し,その際に取り交わされる書類によって必ず売買による所有権移転登記と抵当権設定登記が申請されます。
その後35年経って,Zさんが無事に住宅ローンを完済することができた場合にも忘れてしまいがちですが,抵当権の抹消登記の申請が必要です。
お金を返して債務がなくなれば,その抵当権も原則として効力はなくなります。よって,その抵当権が実行されて銀行から住宅を売却されるようなことは間違ってもありません。消さないからといって,大きな不利益が起こる可能性はほとんどありません。しかし小さな不利益がいくつか起こる可能性があります。
抵当権の抹消登記をせず残したままにしておくと,誰かがZさんの住宅の登記簿謄本を取った際に,「まだ債務があるのか」と思ってしまいます。登記簿謄本は地番がわかれば他人でも取得できます。その状態では,新たな借入が難しくなる可能性もあります。後にまた住宅のリフォームローンを組みたいとか,住宅を担保にお金を借りたいとか,その物件を売却したいといったときには,原則として抵当権の登記を消すことが求められます。
抵当権抹消登記を申請するのに,特に決められた期限はなくいつでもできますので,必要が生じた時になってから消しても構いません。
しかし,あまり長い時間が経ってしまうと,物件の所有者に相続が発生したり,抵当権抹消書類を紛失してしまったり,有効期限のある書類もあるため,その書類の期限が切れた場合,新しく書類を取得する必要があったり,銀行の合併・分割,商号変更,本店移転などの変更があったりして権利関係が複雑になっていたり,などと余計な手間がかかるといったことがあります。
先日,ある相談者のケースで,完済後,何年も放置して,その後,不動産の売却をしようとしたところ抵当権の登記が残っていることに気付き,慌てて抵当権者に連絡すると倒産してしまっており,このケースでは裁判手続まで必要となり,結果的に数十万円の費用がかかってしまったということがありました。そのため抵当権の登記は,早めに消すことをお勧めします。
抹消の登録免許税は不動産1物件につき1000円ですので,移転と違ってそれ程高くはありません。司法書士などに依頼すると2万円前後,場合によってはもっと高額の報酬が発生してしまいますが,最近は,インターネットでも廉価なマニュアルが多く出ており,ご自身でも出来てしまいます(→不動産登記ガイド)。住宅ローンを完済したけれど,そのまま何もしていないのでしたら,早めに抹消登記しておきましょう。
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