司法書士によるコラム
第22回 「相続人の中に行方不明者がいる場合の遺産分割について」
父親が財産を遺して死亡し,母親と兄弟2人が相続人となりました。兄が家出してしまい行方不明となっている場合,遺産分割はどのようにすれば良いのでしょうか?一部の相続人を除外して遺産の分割をしても無効となってしまうので問題となります。
まず1つ目の解決方法として,行方不明である兄について家庭裁判所に失踪宣告をしてもらう方法があります。失踪宣告とは,生死不明の状態が一定期間続いた場合に,その者を死亡したものとみなす制度です。家出のような場合には普通失踪となり,7年間生死不明であれば,その期間満了時に死亡したものとみなされます。ただし失踪宣告がなされたからといって残りの相続人だけで遺産分割ができるとは限らないので注意が必要です。兄が死亡したとみなされる日が父親の死亡日よりも前で,かつ兄に子がいた場合は原則として代襲相続が発生しその子を加えての遺産分割協議が必要となります。また兄が死亡したとみなされる日が父親の死亡日よりも後で,かつ兄に相続人(子に限らず)がいた場合にはその相続人も加えて遺産分割協議せねばなりません。
遺産分割した後に兄がひょっこり生きて戻ってきた場合には,家庭裁判所への請求により失踪宣告が取り消されることとなりますが,他の相続人が兄の生存を知らなかったのであれば遺産分割は有効のままです。
2つ目の方法としては,兄の不在者財産管理人を家庭裁判所に選任してもらう方法です。不在者財産管理人は,不在者の財産を管理・保存するほか,家庭裁判所の許可を得た上で不在者に代わって遺産分割協議に参加することもできます。ただこの場合にも注意が必要で,遺産分割時において既に兄が死亡していたことが後々判明した場合には,当該遺産分割は相続人でない兄(に代わる者)が協議に加わっていたこととなり無効となってしまい,改めて真正な相続人間で遺産分割協議をすることが必要となります。
以上のように相続人の中に行方不明者がいる場合の遺産分割は,煩わしい手続きを伴います。このような事態が想定される場合には,被相続人に遺言を残しておいてもらう方が良いかもしれませんね。
- 第28回 役員の任期伸長について (2011.06.14更新)
- 第27回 インターネットが普及している時代,だからこそ登記を任せる司法書士は自分で選ぶべき! (2011.05.16更新)
- 第26回 士業として今できること (2011.04.20更新)
- 第25回 住所変更登記について (2011.03.18更新)
- 第24回 新・中間省略登記について (2011.01.24更新)
- 第23回 担保権者が行方不明な場合の抹消手続きについて (2010.11.12更新)
- 第22回 相続人の中に行方不明者がいる場合の遺産分割について (2010.11.12更新)
- 第21回 登記簿を見てみよう! (2010.10.22更新)
- 第20回 相続物件の売買について (2010.09.17更新)
- 第19回 ローンを完済したら登記しましょう (2010.08.13更新)
- 第18回 マイホーム購入計画は慎重に! (2010.07.18更新)
- 第17回 一般定期借地権を使って土地を活用してみよう (2010.06.25更新)
- 第16回 相続人の確定と登記実務 (2010.05.22更新)
- 第15回 不動産登記の重要性(登記申請って必要?) (2010.04.16更新)
- 第14回 権利証紛失時の代替措置 (2010.03.12更新)
- 第13回 オンライン申請活性化へ! (2010.02.12更新)
- 第12回 遺言のススメ (2010.01.15更新)
- 第11回 長期優良住宅に関する登録免許税の減税について (2009.12.11更新)
- 第10回 不動産の売却について (2009.11.13更新)
- 第9回 所有者の会社がない! (2009.10.9更新)
- 第8回 相続時精算課税制度について (2009.9.11更新)
- 第7回 権利証がない??? (2009.8.14更新)
- 第6回 農地に注意 (2009.7.10更新)
- 第5回 大切な3つの確認 (2009.6.18更新)
- 第4回 共有持分は愛情の深さ? (2009.5.15更新)
- 第3回 相続手続は早めのご相談を! (2009.4.10更新)
- 第2回 二世帯住宅の登記プラン (2009.3.13更新)
- 第1回 インターネットにおける不動産オークションと登記実務 (2009.2.20更新)
不動産登記のお問い合わせはこちら
ご相談,お見積り無料!お気軽にお問合せください。
「こんな些細なことを弁護士に相談してもよいものか」といった事項でも,遠慮なくご相談いただける人間関係を,法人代表者の方々や法務部担当者の方々との間で築くことを心掛けています。




