司法書士によるコラム

第23回 「担保権者が行方不明な場合の抹消手続きについて」

 今回は休眠担保権の抹消について紹介をさせていただきたいと思います。
住宅ローンの借入や金銭の貸借等により設定した抵当権等の担保権の抹消を申請する場合,原則として抵当権者と担保権設定者の共同申請により抹消登記を申請する必要があります。

 しかし,稀に何十年も前,場合によっては明治時代に設定した担保権が残ったままになっているケースがあり,既に担保権者の行方がわからなくなっていることがあります。
この場合,原則的な共同申請での抹消は事実上困難であるため,その抹消方法が問題となります。
そういった場合の担保権の抹消方法の一つとして用いられるのが,不動産登記法の簡易な抹消手続き(法70条3項後段),いわゆる休眠担保権の抹消手続きです。(判決による抹消登記申請も可能ですが,訴訟手続きを経る必要がある等,手続きが複雑になります。)
この手続を利用するためには,以下の要件を満たす必要があります。
(1)先取特権,質権,抵当権(根抵当権については元本確定のもの)に関する登記の抹消を申請する場合であること
(2)担保権者の所在が知れないため,共同申請による申請ができないこと
(3)債権の弁済期から20年を経過していること
(4)申請書に債権の弁済期から20年を経過した後に債権,利息及び債務の不履行によって生じた損害の全額に相当する金銭を供託したことを証する書面を添付すること

 上記要件を満たしていることを証するために必要な添付書面として,具体的には,登記義務者が登記記録上の住所に居住していないことを市区町村長が証明した書面や,債権の弁済期を証する金銭消費貸借契約証書,供託したことを証する供託書正本等といった書面を添付します。(事案によって添付書面に差異があります。)
これによって,登記権利者の単独申請(申請構造は共同申請)により休眠担保権抹消登記の申請をすることができます。
 「何十年も前の担保権を今更・・」等と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが,不動産の売却や融資を受けるための担保権設定をする場合には抹消を求められることになるため,見つけた場合は専門家に相談をし,早めに抹消をすることをお勧めいたします。


司法書士 山口 是長

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