司法書士によるコラム
第24回 「新・中間省略登記について」
平成17年施行の改正不動産登記法により,それまで事実上行われていた中間省略登記は出来なくなりましたが,不動産業界をはじめ実務界からの強い要望もあり,現在では中間省略登記と同様の効果をもたらす手法が公認されております。
今回のコラムでは,その手法について簡単にご紹介したいと思います。
そもそも「中間省略登記」とは,例としてA→B→Cへと順次所有権が移転した場合に,中間のBを経由することなく,Aから最終的に所有権を取得したCへ直接移転登記を行うことを言います。
その結果,中間者Bへの移転登記に伴って発生するはずの登録免許税等はかからず,経費を節約することが出来ます。
しかしながら,中間省略登記は権利変動の実態を正確に反映しておらず,法務省は原則中間省略登記を認めないとの立場を採っており,現在もその姿勢は変わっておりません。
そこで,合法的に中間省略登記と同様の節税効果をもたらす手法として認められたのが「新・中間省略登記」です。
新・中間省略登記では,「第三者のためにする契約」または「買主たる地位の譲渡」といった形式を利用することで,AからCへの直接移転が可能になります。
以下に説明しますのは「第三者のためにする契約」を利用した手法ですが,「第三者のためにする契約」とは,契約当事者が自己の名において締結した契約によって,第三者に直接権利を取得させることを内容とする契約になります。
身近な例としては,保険会社(A)に対して被保険者(B)が保険金受取人(C)を指定する生命保険契約などがあります。
「新・中間省略登記」における実際の契約方法は,以下のような流れになります。
(1)
AB間で物件の売買契約を締結する。ただし,Bは当該物件の所有権移転先となる者(C)を指定するものとし,Bの指定及び売買代金全額の支払いを条件として,AからBの指定する者(C)に所有権が直接移転する旨の特約を定める。
(2)
BC間でA所有の物件に関する売買契約を締結する(他人物売買)。ただし,Bが本来負うべき所有権移転義務はAが履行する旨の特約を定める。
この手法によるとBは一度も所有権を取得しないため,Bは登録免許税や不動産取得税を負担する必要がなく,中間省略登記と同様の効果が得られることになります。
なお,宅地建物取引業法33条の2では原則的に自己の所有に属しない不動産の売買契約締結を禁じておりますが,上記(1)の契約にBの指定先として「B自身を指定することが出来る」旨の条項が含まれていれば,例外規定(宅地建物取引業法施行規則15条の6第4号)に該当するため,Bが宅地建物取引業者である場合でも法的な問題はありません。
契約書の作成方法や記載内容に関する十分な検討は必要ですが,「新・中間省略登記」を用いることで流通コストが削減されるため,取引当事者が経済的利益を享受するだけでなく,少なからず不動産市場の活性化に寄与することが出来ると思われます。
ただ,この手法によるメリットを享受している不動産会社はまだ一部に留まっており,身の周りに適切な相談先が見当たらず,導入を見送っている不動産会社も多いのではないでしょうか。
当事務所では約100名の弁護士・司法書士が不動産登記申請について,事前のアドバイスから訴訟が必要になる場合まで幅広く対応致します。
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