司法書士によるコラム
第25回 「住所変更登記について」
今回は住所変更登記についてお話したいと思います。
不動産を購入した後に住所を変えることはよくある話です。もちろん住民票を移しても登記簿上の住所が自動的に変更されるわけではありません。
住所を変えても住所変更の登記をしなければならないという義務はなく,法的に罰則規定があるわけでもありません。「費用をかけてまで手続をするのは面倒!」と思う方は少なくないと思います。
それでは住所を変えた後そのまま住所変更の登記をせずに「放置」していた場合,どのような問題が起こるのでしょうか?
例えば不動産を売却する際には所有権移転の登記をすることになりますが,所有者の住所が変わっている場合には前提として住所変更の登記が必要となります。そしてこの変更登記の登記原因証明情報は,原則として「住民票の写し」を添付することになります。
しかし住所を複数回変えており,住民票の写しに登記簿上の住所が記載されていない場合には,現在の住所へ変わった経緯がわかる書面として「戸籍の附票の写し」が必要となります。
この戸籍の附票の写しは,自治体によりますが最低保存期間が戸籍を異動してから5年間となっています。戸籍の異動を行っている場合で長期間旧住所のまま放置していますと,戸籍の附票の写しでも住所が変わっていった経緯を明らかにすることはできず,登記手続自体に影響が出る可能性が出てきます(ちなみに住民票の写しの最低保存期間は住所を異動してから5年間です)。
この場合「不在籍不在住証明書」と「登記済権利証」をもって,消極的に住所が変わっていった過程を明らかにしていくこととなりますが,住民票の写しを取得するだけで済んだものがひと手間もふた手間もかかることになります。※法務局ごとに対応が異なる場合がありますので,詳しくは管轄の法務局にご確認ください。
抵当権抹消の手続においても抵当権者(債権者)の住所が変わっている場合にはその変更登記は必要ですし,相続登記においては被相続人(亡くなった方)の住所が変わっていた場合には住所変更登記自体は省略されますが,登記簿に記載されている人と戸籍に記載されている人が同一人物であることを証明するために住民票の写し,除かれた住民票の写し,戸籍の附票,除かれた戸籍の附票などが必要となり(すべてが必要なわけではありません),同様の問題が生じる可能性があります。
やはり現在の状況と異なった登記簿上の公示は,住所変更だけではなく後々手続が煩雑になる場合や問題が生じることもありますので,早めの相談,手続をとられることをお勧めいたします。
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